心技体を磨く【体の巻】
今回の記事は、「心技体を磨く」の続編になります。k-book-oneday.hatenablog.com
前回の記事でも述べたように、手ぶらの投資家はプロスペクト理論に従うことになり、泣き目を見ます。また、技を手に入れた所で多くの場合は優位性は得られません。それは手数料、再現性、税金、入手コストがリターンに吊り合わないためです。これを踏まえ、投資の最適解はS&P500に連動(インデックス)の米国ETFであるということは散々述べてきました。
ここで、「体」の項目を最後に持ってきた所以があります。インデックス投資戦略は「体」が大切なのです。
リスクの集中と分散
「卵は一つのカゴに盛るな」という格言が投資家の中ではあります。これはリスク(不確実性。どうなるか分からないこと)を分散することの重要性を語っています。
一方、投資家のウォーレン・バフェットはリスク分散についてこう言っています。
「リスク分散は無知に対するヘッジである」
詰まる所、否定的ですね。
しかしここでアナタや私が選択すべきことは、自らの無知を認め運用する、ということです。
前提として、リスク分散をしないで集中投資をすることは個別銘柄リスク、業界リスク、市場リスクなど全てのリスクを負うことになります。そのため、初心者はこのリスク(価格変動、ボラティリティ)に耐え切れず、市場から撤退を余儀なくされることが多いです。そのボラティリティを抑えるため、分散することは重要になります。ここでバフェットの言葉を考えてみると、「自分が市場の価格変動に耐えられることを見越して投資すべき」という言葉にも解釈できます。しかし、果たしてそんなことできるのでしょうか?
ハッキリ述べますが一般の人には無理です。というより多くの人には無理です。短期の場合では退場者は少ないですが、リーマンショック、チャイナショック、EU離脱や米国大統領選挙など大きく価格が変動するような市場では多くの人が退場したことでしょう。日々の連続する取引で退場しない人、特定の日の取引で退場しない人はごく稀です。これはプロスペクト理論によるものもありますが、「バルサラの破産確率」を見ても稀であることが分かります。詳しくはまた別記事で挙げたいと思います。
さて、集中投資を辞めた場合、分散投資はどうやってやるのか?これは、投資対象や銘柄でも可能ですが、ETFはこれらを分散させた投資対象です。つまりこの次元のリスク分散は買った時点で「完了」ということになります。
(引用元はhttp://www.rokohouse.net/archives/1217です。この図はランダムウォーカーでも乗っています。)
リスク分散は40銘柄程度が限界点だと思えますね。
時間のリスク分散
ここで、ETFは個別リスク、業界リスク、市場リスクを分散しています。しかし、時間(いわゆる4次元)によるリスク分散こそが重要であると言えます。具体的には、定期的に保有数を買いますということです。これは何故重要なのか?答えは、損失を抑え、収益を最大化するためです。
重要すぎるのでもう一度言います、損失を抑え、収益を最大化するためです。
定期的に買います方法とは、ドルコスト平均法や配当再投資戦略があります。論より証拠ですね、以下の図を見て下さい。
(出典元:Rational Insights)
青が再投資戦略、グレーが通常の投資額です。差が大きくなることも大切ですが、重要なのは、下落時にはクッションのような役割を担い、上昇時にはアクセルになるということです。
配当再投資戦略はその性質上ドルコスト平均法でも代用可能です。この際、長期的に値上がりする対象に有効であるということを忘れてはいけません。長期的に下がる対象はこのグラフが逆転すると思ってくれてかまわないでしょう。
では長期的に値上がりする対象とは何か?
何度でも書きますが、米国のS&P500に連動するETFです。
関連記事です。
S&P500はこれからも成長していくのか?それとも発展途上国である国の指数にこそ投資すべきなのか?長期的に見たとき、成長が利益をもたらし得ないことを示した記事です。成長の罠は、個別銘柄だけでなく国単位でも起こるということです。
米国株が割高なのか?これは今を生きる投資家の皆様の注目点です。
「上昇相場は懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福の中で消えていく」ということを忘れてはなりません。
あでゅー。