聖なる霊感者
さて、今回は取引の信念を大きな枠組みで分類していきたいと思う。
アナタが最も共感でき、最も懐を守ってくれると思える信念に従うことを推奨する。
そのため、前回の記事でぜひ「懐を守る」という意味を見つめなおしてほしい。
今回の記事は「ファンダメンタル分析」を焦点に展開していく。
・投資家とアナリスト
では、今日も学んでいこう。
・投資家とアナリスト
当ブログの読者は周知の事実かもしれないが、繰り返し述べておく。
証券アナリストたちは様々な手法・信念を基に、市場価格を推定したり、この銘柄に投資せよと謳っている。市場価格を推定すること、推奨銘柄を販売することは大いに結構であるが、簡単にその人を信用してはいけない。証券アナリストは、投資家に「勝てるかも」という妄想を植え付け、売買を促しているに過ぎない。証券アナリストはアナタの損益ではなく、アナタの売買手数料で食っていることを忘れてはならない。つまり、アナリストは「アナタの懐」ではなく、「アナタの売買手数料」を狙っているということだ(懐疑的な目線かもしれないが、一つの事実として捉えて欲しい)。
もちろん多くの投資家は自身の信念に基づいて売買を行っている。その信念は大きく分けて2つであり、「ファンダメンタル分析」と「砂上の楼閣」である。今回は前者の流派を具体的に見ていこう。
「ファンダメンタル分析」派の主張はこうだ。
①投資家の売買判断は90%が合理的な判断であり、心理的な判断は10%程度。
②そのため、過去の株価パターンなど、気にする必要は無い(寧ろ、しない)。
③我々が行うことは、適正価格と市場価格の比較のみ行う。つまり、市場価格が割安の時に買い、割高の時に売りという売買判断を下せばよい。
さて、それぞれ見ていこう。①については前回も触れたプロスペクト理論を参照して欲しい。確かに、最近では人工知能による売買も増えてきていると聞くので、この数値に近づいているのかもしれない。しかしながら、90%とは大きく出たものであるし、大きな影響力を持つことになる。これが真であるなら、彼らの信念は学ぶ価値があるであろう。
ファンダメンタル分析において最も重要なことは「適正価格を見抜くこと」である。
これを貴い目標に据え、彼らは以下の信念を基に適正価格を算出する。
一、成長率(配当、利益率)の高い株式に対して、高い価格を払う。また、成長期間が長ければ、これも高い価格を払う。
この信念は現実を反映しているか、妄想なのか?「ウォール街のランダムウォーカー」によれば、これは真であるとされている。つまり、株価収益率(成長率)は期待成長率と比例関係にあるとされる。
二、投資家は企業利益に対して、現金配当や自社株買い戻し後の株主還元比率が高ければ高いほど、高い価格を払う。
この信念は現実を反映しているか、妄想なのか?これは一概には言えない。それは、企業利益が高くても再投資するような企業は、配当や株主還元比率は低く出てしまう。そのため、その企業がどんな企業かを把握した上で比較検討する必要がある。
三、変動幅が小さければ小さいほど、投資家は高い価格を払う。
この信念は現実を反映しているか、妄想なのか?これは反映しているであろう。簡単な理屈である。アナタの全財産を投資しなければならないとき、変動幅が大きい銘柄と変動幅の小さい銘柄どちらを好むだろうか。変動幅が大きいとは、すなわち、かたや大金持ち、かたや一文無しである。
四、金利水準が低ければ低いほど、投資家は高い価格を払う。
株式市場だけでは適正価格を図ることはできない、ということも意味している。今回は割愛するが、簡単に述べると、投資家を魅了するのは「金利と変動幅」であるのだ。変動幅が小さいものは三のルールから市場価格は高くなるので、金利を高くして投資家を引き付けるような真似はしなくてよい。(機会があればこの点については別途記事にしたいと思う)
この4点をもってして、ファンダメンタル分析の信念は形成される。しかしここで以下の注意点を留意した上で取り入れて欲しい。
1、将来のことなので、算出された適正価格の証明は、現時点では出来ない
絶対不変の適正価格は市場は裏切ると念頭に置いて欲しい。市場は時に急落し、時に暴騰するのである。適正価格はそれを教えてはくれないし、その場面において適正価格はアナタに問いかけてくる。「周りに流されず、私を待っていてくれますか」と。
2、情報は常に不完全である
適正価格に組み込まれた価格は市場価格ではない。そして、適正価格を算出するために用いたデータは時に不完全である。「企業の出すデータは不完全ではないか?」「成長期間はもう少し長いのではないか?」という2つの問いが常にアナタに付きまとうことを覚えていて欲しい。
3、市場価格は適正価格ではない
2による弊害がこのような結果を招く。つまり、算出された適正価格は不完全になりがちであるので、投資家はそれぞれの価格を基に売買を行う。アナタの適正価格はどこまで市場を織り込んいるだろうか?
ではこのような厳しい制約の元で、何を信念として据えるべきか?
この点については、次回取り上げたいと思う。
アディオス。
己を知る
今回の記事は、
・収益最大化の条件について
・損益許容度について
・”今すぐに”するべきこと
という3本立てで展開していきたい。
長くなるので全体を通じて伝えたい事を要約すると以下になる。
「プライド、感情は二の次。己(懐)を守るための研究・計画を重ねて欲しい」
では内容に入っていこう。
収益最大化の条件
私的な意見だが、投資家というのは「出る杭は打たれる」という言葉が最も似合う存在であると感じている。というのも、投資家の収益は以下のように表わされる。
(投資家の収益)=(売買益)-(手数料、税金)
当然アナタは投資家であり、自身の懐を温めようと日々奮闘していることと思う。
そこで、上の公式に当てはめてみると、アナタの懐は2つの方法によって温められることが分かる。それは、「売買益の向上」と「諸経費の削減」である。
まず、「売買益の向上」のために行えることは、前回の記事でも触れたが、様々な手段がある。投資家のアナタであれば、自身の信念に見合ったものを選択し、その手法を追求することを推奨する。
しかし、こと「諸経費の削減」はそうはいかない。短期的な売買(スキャルピング、デイトレード)や長期的な売買(スイングトレード)のどちらを選択するかによって変わることを頭に叩き込むべきだ。この点は例を挙げて説明してみよう。
例1
デイトレーダー、注文は3回/週行っており、注文手数料は50円の口座を使用。
この人がいかに優れているトレーダーであるか、駆け出しのトレーダーであるかで収益は変わってくるであろう。しかし、どちらにせよこの手法で行う限り確実に決定されるのは売買手数料である。3回/週なので12回/月の売買であり、年間に換算すると144回/年の取引回数となる。つまり、7200円の手数料が確定する。
そしてここから税金が差し引かれる。国内投資であれば税金はおよそ売買益に対して、
20%である。したがって、この人の収入は(売買益-7200円)*0.8となるのだ。
したがって、一般化するとこうなる。
投資収入=0.8{売買益-(注文手数料*注文数)}
アナタの収益を最大化するために必要なことは「売買益を向上させること」に違いは無い。ぜひ諸手段を追求してほしい。しかしながら、その迷宮に潜り込む前に、アナタの目的を忘れないで欲しい。税金と手数料がアナタを迷宮で襲ってくるということを。
以上のことから私個人としては、投資収益を最大化するために長期保有を推奨する。
長期の期間を見て売買を行うので、必然注文数が減り、経費が安く済む。細かいことを言うようだが含み益に対しては課税対象とはなりえない(一部あるものもあるそう。使用の証券口座で要確認)ため、含み益であれば持ち越し、含み損であれば決済するというのも手であろう。
ぜひアナタの取引経費を計算してトレードスタイルを確立してほしいと思う。
・損益許容度について
これは「売買益の向上」を考慮した際に知るべき指標の一つだ。結論は、「損益の計画を立てよ」ということだ。当たり前だが、決済しない限り、損でも益でもない。損や益は結果であり、その結果を決めるのは投資家の役割だ。アナタはどの値であれば損を認め、どの値であれば益と認めるのか。感情的な側面も見受けられる問だが、ぜひ客観的に判断してほしい。感情によって売買する事で身を亡ぼすということは「プロスペクト理論」が端的に表している通りである。
・”今すぐに”するべきこと
まずは貯蓄せよ。なぜかと疑問に思うのであれば複利の概念を学ぶといい。
そして自身を研究して計画を立ててみて欲しい。どのような売買がアナタの懐を守ってくれるのか。
長く書いたが、繰り返し書いておきたいと思う。
己とはアナタの感情ではない。アナタの懐だ。
己とはアナタの気持ちではない。アナタの懐だ。
プライド、感情は二の次にして、自身の懐を守るために研究・計画を重ねて欲しい。
それではアディオス。
投資家を俯瞰する
今回のこの記事以降では、「株式市場について考察する投資家」について言及したい。
というのも、長年市場を形成してきたのは投資家であるため、投資家について知ることを通じて市場に表示される変動に物語を作ることが出来る。
そして何より、読者のあなたは「投資家」だ。他の投資家の活動を知ることで、自分自身の資金や生活様式に見合った手法、または戦略を構築していく足掛かりになるであろう。
今回の結論は投資家という人種は「3種に分類される」ということである。
「ファンダメンタル分析派」、「砂上の楼閣派」、「ランダムウォーク派」の3種族は、それぞれの信念に従って市場に向き合っていき、市場という戦場で時に殴り合い、時に踊り狂っている。この殺伐かつ混沌とした市場に対して、どのように付き合っていくべきかを学んでいただけると幸いである。
簡単に概要をそれぞれ述べよう。
「ファンダメンタル分析派」の信念によれば、「投資対象となるものの本質的かつ絶対的な価値を見極めることだけでよい」とされる(絶対的というのは相対的という言葉の対比の意味)。つまり、市場価格に対して本質価値が安ければ買い、高ければ売りから入るということを意味する。この理論に入信してみたい方々はベンジャミン・グレアムやデビット・ドットなどによる名著「証券分析」が推奨される。ここにはかの有名な投資家である、ウォーレン・バフェットの名前も挙がるため、参考書を手に取った方は取り組みがちな手法かもしれない。しかし、詳細は次回以降記述するが、この信仰の穴は2点あると感じている。
あるいは「砂上の楼閣」の信念によれば、「市場を形成する投資家の静から動に変わる瞬間を見極めること」が求められる。この信仰によれば市場の波は投資家によって形成されるので、その動きを捉えることで、波の初動から参加しようということを意味する。この理論に入信してみたい方々はアダム・スミス「マネーゲーム」が推奨される。この論の根底には価格は投資家によって決められるという考えがある。しかし、これも詳細は今回割愛させて頂くことにする。
そして「ランダムウォーク派」の信念によれば、上記の2種とは異なる文化を形成している。それは、「過去の動きから将来予測をすることは不可能である」というものだ。この信仰によれば株式市場において将来の値動きを予測することは短期的には不可能であるとされる。すなわち、ファンダメンタル分析とテクニカル分析と対立する関係になっている。参考書はバートン・マルキール「ウォール街のランダム・ウォーカー」を推奨したい。当ブログもこの著から主に引用を行っていきたいと思っている。
この三つ巴の論争は未だに続いているため、どれが正しいかどうかを示すことは非常に難しい。故にこの論争から私達個人投資家が学ぶことは「自身に見合う信念を選択する」ことに尽きると感じている。これは感情から選択するのではなく、投資家らしく感情を排出して合理的意思決定の元に行われることが好ましいと私個人は思っている。
人は「ピンクの像を想像してはいけない」と言われても、その命令は実行されることは難しい。故に「~をするな、~しろ」という命令(それは自身であろうと他人であろうと)は残念なことに実行されにくい。
孫氏いわく、「彼を知り、己を知れば百戦危うからず」という。こと株式市場において彼とは株式市場であり、己はあなた自身を指す。当ブログや諸手段を用いて、ぜひ彼(株式市場)を知ることに役立てて欲しいと思う。そして己自身と向き合い、客観的に自身を分析してほしい。当ブログでは、この自分自身の分析の方法も取り扱うことができればと思っている。
これを契機にアナタの懐が麗わんことを願う。
アディオス。